円山動物園の飼育員さんが、動物や動物園、自然について紹介するコーナーです
『スンダスローロリス』
サル目/ロリス科
【生息地】 マレー半島やスマトラ島の森林
円山動物園にはオス2頭とメス6頭がいます。
どくを持つサルの仲間
暗闇の中を、ゆーっくりと音も立てずに木の上を移動するスローロリス。その動きはオランウータンや猛きん類などの天敵や、えさとしてつかまえる昆虫にも気づかれないほど。英語で「のろのろとした」という意味の「スロー」と、手足を自由自在に使って動く様子がピエロに似ているため、オランダ語で「ピエロ」という意味の「ロリス」から名づけられました。
くりくりの目のかわいらしい姿ですが、サルの仲間の中で唯一「どく」を持っています。だ液とわきの下から出る液体を混ぜると「どく」になり、自分や子どもをなめたり、手でなでたりして、体にどくをぬり付けて身を守ります。熱帯雨林の木の上で暮らし、ほとんど地上には下りません。木の枝を歯先でけずり取る「ゴーギング」という動きをして、主食となる樹液をなめます。
絶滅から救うには?
スローロリスは、多くがペットとして密猟され、絶滅が心配されています。円山動物園にいる8頭のうち3頭は、密猟により日本に持ちこまれ、保護されました。1頭は片目がつぶれており、人間がつかまえるときに投げた石が目に当たり、傷つけられたのではないかといわれています。
国内の動物園全体で、23頭のスローロリスが飼育されています。絶滅の危機から守るため、国内での繁殖が進められています。今年6月に、広島県安佐動物公園よりオスのナロが来園し、8月にメスのカオリと同居を始めました。円山動物園では、無事に赤ちゃんが誕生するよう環境を整え、見守っていきます。

まるやまニュース
「サイエンZOO〜動物園科学の日〜」を開催!
私たちや動物たちを取り巻く環境の“不思議”や“おもしろい”を、科学の視点から見てみよう。14の団体がいろいろなテーマでサイエンスショーをするよ!今年はオンラインでの参加もできるよ。
日 時: 11/6(土)・7(日)10:30〜15:00
場 所: 円山動物園(科学館ホール)
※オンライン参加は事前登録が必要(先着順)
教えて! 飼育員さん
飼育員さんが、みんなからの質問に答えるよ!
Q. キリンは首が長いので、脳まで血液を送るのが 大変そうだけど、その分心臓が大きいの?
A. キリンの心臓は、体の大きさに比べて小さいです。キリンが食べるマメ科の木の葉などは消化が悪いので、消化をするために4つの胃と長い腸を持っています。そのため、お腹の中は胃や腸でパンパンになってしまい、心臓のスペースがあまりないからです。でも、心臓の筋肉が信じられないくらい厚いので、すごい力で心臓から体に血液を送り出すことができます。だから、小さな心臓でも長い首を通って脳まで血液を送ることができるのです。
協力・監修/札幌市 円山動物園
札幌市中央区宮ヶ丘3番地1 TEL. 011-621-1426
http://www.city.sapporo.jp/zoo/